日本人の健康と食育

平成17年6月10日、第162回国会で食育基本法が成立しました。
この法律が成立した背景には、近年の「食」をめぐる様々な問題があります。

戦後の経済的な発展は、日本人の食習慣を大きく変えました。伝統的な食に代わり、欧米の食文化が流入し、加工食品・インスタント食品も増加するなど、食生活の劇的な変化は日本人の生活習慣のみならず、健康状態を大きく変えてしまいました。
 
26年間世界一だった日本人の平均寿命は、2011年に世界一から転落しました。また長寿の一方で、問題化しているのが「健康寿命」です。自立して健康に生活できる「健康寿命」と「平均寿命」の差は、男性が「9.22年」、女性が「12.77年」も有るのです。

この背景には「生活習慣病」の問題も潜んでいます。
平成22年国民健康栄養調査によると男性は3人に1人、女性は5人に1人が肥満というデータが出ています。
健康寿命も肥満の問題も、その解決の鍵を握るのは適切な「運動」と「」です。

戦後、食の欧米化が急速に進んだ日本では、動物性たんぱく質や脂質の摂取量が増えました。その一方、伝統的な日本の食事で主食であった穀類の摂取量が減りました。
その結果ビタミン食物繊維など、からだの調子を整える栄養成分の摂取量が減少しました。

好きなものを好きなだけ食べられる飽食の現代生活は、決して「豊か」とは言えないようです。
なんでも好きなものを食べることが出来る一方で、野菜や果物など、体に欠かせないビタミン・ミネラルを豊富に含む食材の摂取量は、いずれも摂取目標量に達していません。特に若い世代は不足が目立ちます。
かつて理想的な食と言われた「日本型食生活」の伝統が途切れつつある中で、豊かさのゆえの「現代型栄養失調」が問題として浮上しています。

こうした問題を解決する為にも、日本の伝統食を継承していくことが望まれます。
「米」を食べることを中心に据え「一汁三菜」を基本にする日本型の食卓は、人間が生きていく上で欠かせない炭水化物と脂質、たんぱく質からなる三大栄養素を理想的なバランスで摂取することができます。
主食のご飯はエネルギーとなる「炭水化物」を、豆や魚介類からなる主菜は「たんぱく質」を、野菜や海藻がふんだんに使われる汁物や副菜は「ビタミン」や「ミネラル」の摂取源となります。
日本食の調理法では油脂が多く使われないため、動物性の脂質の摂取量は低く、調理油も体の調整機能に有用な植物性が中心です。
また日本食の調理に欠かせない味噌や醤油・漬物などの発酵食品は腸内環境を整えてくれます。
 
健康と食をめぐる情報は多々ありますが、溢れかえる情報の中、自分の身体に適切な「食」を見失いがちになったら、原点に立ち帰って見るのも大切かも知れませんね。