誰もがみんな歳をとる〜高齢者のフレイルから考えること〜

フレイルとは

「フレイル」をご存知でしょうか?

「フレイル」とは、2014年に日本老年医学会が提唱した概念です。身体機能や認知機能の低下により、健康と要介護状態の間にある状態のことを指します。

厚生労働省研究班の報告書によれば、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態」と示されています。

加齢に伴って筋肉が減少することを「サルコペニア」と言います。また骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった移動機能が低下した状態をロコモティブシンドロームと言います。こうした筋肉量の減少・移動機能の衰えはフレイルと密接に関連します。

加齢のために筋力や筋肉量が減少すると不活発になり運動量が減ります。すると必然的に毎日のエネルギー消費量は低下します。エネルギー消費が少なければ食欲が湧かなくなるため、食事の摂取量が減ってしまいます。食事の絶対量が減ることで栄養の不足を招き低栄養状態に陥いると、さらなる体重・筋力・筋肉量の減少が引き起こされてしまいます。するとより動かなくなり・・・・という負の連鎖に陥ってしまうのです。

このフレイル・サイクルに陥ると、転倒による骨折や慢性疾患などの悪化をきっかけに、要介護状態に陥るリスクが高まってしまいます。

よく食べる人は元気

平成29年「国民健康・栄養調査」の結果を見ると、65歳以上の低栄養傾向(BMI≦20 kg/m2)の割合は、男性12.5%、女性19.6%。80 歳以上では男女とも約2割が低栄養傾向にあるようです。

一方、60歳以上男女の骨格筋量に着目すると、たんぱく質摂取量が多く、肉体労働の時間が長い人ほど、男女ともに骨格筋指数の平均値が高いということも示されています。

骨格筋が多く「動ける体」を維持している高齢者は、よく動くことで良く食べ、よく食べることでよく動く、というプラスの連鎖を作り出しているようです。

女性のやせ問題

女性に目立つ傾向に「やせ」が挙げられます。平成29年の「国民栄養調査」において、女性のやせ(BMI<18.5 kg/m2)の割合の年次推移を見ると、ダイエット志向が強い20代の若年層だけでなく、50代でもやせ傾向が高まっています。

20代女性の場合、痩せ傾向は骨量減少や低出生体重児出産のリスク等との関連が指摘されており注意が必要ですが、いずれの年代においてもやせに伴う骨密度の低下は、将来の健康に大きく関わります。

ことに仕事や家事・子育てに忙しい年齢層は注意が必要なのかもしれません。日常に忙殺され、無自覚のうちについつい自分の食事や運動がなおざりになってしまいがちです。栄養バランスが良い食事を十分に摂取しなければ活動的にはなれません。そして不活発な日常は運動器の老化を招いてしまいます。

まだ私はそんな歳じゃないと思っていても、サルコペニアやロコモ、そしてフレイルの芽はすでに頭をもたげているのかもしれません。

「日本人の食事摂取基準」たんぱく質の摂取目標の

日本人が1日に必要なエネルギーや栄養素量の基準を示す「日本人の食事摂取基準」2015年版の利用は今年で終わり、来年から2020年版に改定されます。

2015年版から2010年版への主な変更点の一つにたんぱく質の摂取目標の引き上げがあります。2020年版では、中高年層(50歳以上)のたんぱく質の目標量の下限が、男女ともに引き上げられることになりました。

 

 

たんぱく質については、成人・高齢者・小児の全年齢区分で男女ともに同一のたんぱく質維持必要量[0.66g/kg体重/日]を用いて算定されています。

フレイル予防を目的とした量を定めることは難しいということですが、高齢者については、たんぱく質の摂取実態と栄養素としてのたんぱく質の重要性を鑑みて引き上げられたということです。

上限については十分な科学的根拠はまだ得られていないため、成人における各種の代謝変化への影響・高齢者における健康障害への可能性の観点などから、1歳以上の全年齢区分において摂取エネルギーの20%と設定されています。

今回の改定は「社会生活を営むために必要な機能の維持および向上」を策定方針にし、高血圧・脂質異常症・糖尿病など生活習慣病の予防に加え、高齢者の低栄養・フレイル防止という観点が反映され、たんぱく質量の見直しも図られました。

 

これを機に、自分の食事や運動についても改めて見つめ直して見たいものです。

 

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